こんにちは!
リードの選び方 中級者編をお届けします。
- オーボエに慣れてきて、アンブシュアがしっかりしてきた
- 短い曲やエチュードなどが吹けるようになってきた
そんなみなさん、
曲が吹けるようになってくると、楽器がますます楽しくなってきますよね!!
ますます楽しく・・ならない。
・・・
ますます楽しくならない、ゆるりに、理由を聞いてみました。
しばし、お付き合いくださいませ。。
リードは、表現するための道具
大好きなあのメロディを、オーボエで吹いてみたい!と挑戦するも、全然上手くいかない、、
という経験、あるのではないでしょうか。
大好きな『犬のおまわりさん』を、オーボエで吹いてみたんだけど、全然上手く吹けない。
上手に歌えるのに、なんでオーボエでは上手くいかないんだろう・・
ふむふむ、歌えるのに、吹けない。
こう吹きたいって気持ちがあるのに、それをオーボエで表現できないってことかな?
❶まいごのまいごのこねこちゃん
このこのおうちはどこですか
❷おうちをきいてもわからない
なまえをきいてもわからない
❸にゃんにゃんにゃにゃん
にゃんにゃんにゃにゃん
ないてばかりいるこねこちゃん
❹いぬのおまわりさん
こまってしまって
わんわんわわん
わんわんわわん
❶は、リズム良く、弾む感じで吹きたい。
❷は、滑らかに、表情豊かに吹きたいな。
❸は音が跳躍するところや、高い音も、正確な音程で吹きたいな。
❹は、ぼくの鳴き声のところを力強くはっきりと吹きたいな。
ゆるりは、この歌が大好きで、何度も歌ってきたのでしょう。
だからこそ、オーボエで自分の思うような表現ができないことや、イメージ通りの音程が出せないことに、よりはっきりと気づくことが出来たのですね。
歌は、自分の身体一つで表現しますが、オーボエの場合は、楽器とリードという媒体を通して表現します。
オーボエで豊かな表現をするには、オーボエを演奏する技術はもちろん、その表現を可能にする、機能するリードが必要です。
さっきのゆるりの言葉と、それを表現するための奏法を結びつけてみます。
- リズム良く↓
- タンギング、発音(出したいタイミングで音が出せる)
- 弾む感じ↓
- スタッカート
- 滑らかに↓
- レガート
- 表情豊かに↓
- ダイナミック(強弱)
- 音の跳躍、高い音を正確に↓
- 音程
- 力強くはっきりと↓
- アクセント、マルカート
こういったオーボエの様々な奏法は、練習で身につけていきます。
その練習は、機能するリードでこそ充実します。
そして、身につけた技術を生かすにも、機能するリードが必要なのです。
ということですね。
そっかあ。
楽器を楽しむためには、リード選びが大切なんだな。
そうだね。
そうとわかれば、次はリードの選び方だね!
表現できるリードとは、機能するリード
それでは、機能するリードを選ぶためのチェックポイントをご紹介します。
- 発音
- 音程
- 振動の柔軟性
- 息の抜け具合
- (開きの大きさ)
- 抵抗感
- 材料のハリ、強さ
オーボエリードの選び方 初心者編でご紹介した、二つのチェックポイントは、基本です。
中級者編からお読みの方は、ぜひ、初心者編の「リード選びの際のチェックポイント」の部分もお読みください。
- 前準備で開き具合をチェック
- リードだけで吹いて、無理なくhーcis(シード#)が鳴るか
- 豊かなクローがなるか
リードだけで吹いて、これらのポイントがチェックできたら、
リードを楽器につけて、中級者編のチェックポイントに進んでくださいね。
では、ひとつずつ見ていきます。
発音
ダブルリードは、音の始まりと終わりがとても難しい歌口です。
特に、低い音域の発音や、P(小さな音)できれいに発音するには、練習が必要です。
16部音符くらいの速めのスピードで、トゥトゥトゥトゥトゥ・・と吹いてみて、発音が遅れないかチェック
します。色々な音域で試してみましょう。
もこもことして、発音が遅れがちなリードは、特に軽快な曲を吹くときにはストレスになるので、避けましょう。
また、低音を、決められたタイミングに柔らかく出せるか、チェックしてみましょう。
これは非常に難しく、練習も必要ですが、オーケストラなどで吹く場合は、重要なチェックポイントです。
音程
ハ長調の音階を下から上まで、レガートで2オクターブ吹きましょう。
息圧は音が上がるとともに上げていきますが、アンブシュアは変えずに(締めずに)上まで吹いてみます。
それで、下から上までの音程がだいたい取れるものが望ましいです。
ピンクの矢印の高音が、多少下がっても大丈夫ですが、大きく下がるものは避けましょう。
第三オクターブキーを使う高音(五線譜の、上第三線の高いE(ミ)から上)を出す場合は、
リードだけでのチェックの際に、hーcis(シード#)に加えて、dis(レ#)を試してください。
リードの材質が柔らかいなどの理由で、dis(レ#)が出ないリードがあり、
こういったリードは、第三オクターブを使うような高音が出ずらいです。
ただ、disをリードで出すには、非常に高圧な息と、アンブシュアの締めが必要ですので、
吹き手の技術も必要です。
振動の柔軟性
音程の離れた二つの音を、上から下に、ゆっくりとレガートで降りてみます。
音が滑らかにつながるかチェックします。
音が綺麗に繋がらなかったり、途中で切れてしまったりする場合は、振動の柔軟性が足りない可能性があります。(練習も必要です。)
次に、f(大きな音)からディミヌエンド(だんだん小さく)が上手くできるかチェックします。
強弱の幅が大きく、音の最後がぶつっと切れずにきれいに終われると素晴らしいです。
振動が充分でなかったり、硬すぎたりすると、ダイナミック(強弱)の表現が困難になります。
ディミヌエンドは、オーボエできれいに表現するのはとても難しく、アンブシュアとお腹の支え、息圧などをコントロールする、日々の練習が必要です。
息の抜け具合
オーボエは、息を吹き込む入り口がとても小さな楽器ですので、たくさんの息の量は必要ではありません。
曲を吹いていても、吸った息が使い切れず、余って苦しくなるような楽器です。
リードの息抜け具合は、伸び伸びとした息遣いで演奏するために、とても重要なポイントです。
息抜けが悪いリードは、喉にぐっと詰まる感じがして、曲などを吹いているとすぐ苦しくなります。
少し長めのフレーズを拭いてみるなどして、チェックしましょう。
スムーズに息が入っていく感じのリード、また、
f(大きな音)で息をしっかり入れたいときに、応えてくれるリードが良いでしょう。
リードの材料が柔らかすぎたり、ハリが弱すぎたりすると、息抜けが悪くなる傾向があります。
*息の抜け具合と、抵抗感を混同しやすいですが、これらは別のポイントです。
(開きの大きさ)
リードの開き具合は、上記の全てのチェックポイントに影響します。
開きが少なすぎると、息が入らず、豊かな表現ができません。
また、あまり開きが大きすぎると音程が低くなったり、重くて吹きづらくなったりします。
前準備でのチェックの後も、気にかけておきたいポイントです。
以下の二つの項目は、機能するリードのチェックポイントというよりは、
リードの性格を表すもので、自分にあったもの、好みのものを探す上でのチェックポイントとなります。
抵抗感
リードを鳴らすには、息の圧力が必要です。
抵抗感の強弱とは、鳴らすのに必要な息圧の強弱のことです。
よく、このリードは重い、軽い、などとも言いますね。
私は、クローを鳴らしてみて、リードの抵抗感を測ります。
リードを鳴らしながら、だんだん奥にくわえていき、音が通常の「ピー」からクローに変わるタイミングの時に、必要な圧力が高いほど、抵抗感が強いと判断しています。
抵抗感は、吹き手のアンブシュアやパワーなどの違いにより、感じ方が変わってきます。
抵抗感の強弱は、吹奏感に関わってきますので、好みという部分でもあります。
私は、オーケストラでは抵抗感が強めの方が安心感ありますし、ソロの曲ではニュアンスの出しやすい抵抗感の弱めのリードにしたり、場面によって使い分けています。
材料のハリ、強さ
リードは、葦の木の一種であるArundo donaxという木を加工して作ります。
自然のものですから、材質も様々です。
材料のハリ、強さはリードの性格や音色に大きく関わり、吹きやすさを左右します。
しかしこれらは、吹いていくうちに変化していくことが多く、リード選びの際も悩むポイントです。
これについては、次回の記事、せっかく選んだリードが変化しちゃった!で、詳しく書きますね。
以上、リード選びの際のチェックポイントでした!
表現できるリードは音色もついてくる
ここでは、音色について触れていきます。
まず、基本としてお伝えしたいのは、表現できるリードは音色もついてくる、ということです。
機能するリードのチェックポイントを自分自身で試し、クリアしたリードは、自分にとって吹きやすいリードのはずです。
伸び伸びとした息で心地よく吹いていれば、表現の幅も広がり、自然と音色はついてきます。
次に、音色のタイプについてお話しします。
オーボエではよく、明るい音色、暗い音色という表現をします。
基本的には、木を薄く削るほど、軽く明るい音色になり、
木の厚みを残しておくほど、重く暗い音色になります。
ですが、機能するリードで練習を重ねていけば、
明るく多少広がった音色のリードでも、アンブシュアで上手く包み込んで、それなりにコントロールされた音色を出すことができます。
また、重くてハリの強いリードでも、お腹の支え、アンブシュアの支えで、吹きこなせるようになります。
それを踏まえた上で、
材料の質によっては、音色や響きの良し悪しが決定的に出ることがあるのも、知っておきましょう。
材料があまりに硬すぎたり、繊維が荒かったりすると、音色が悪いために、気持ちよく練習ができなかったり、
思い切り息を吹き込めなかったりします。
そういったリードは、迷わず避けましょう。
逆に、上手に仕上げられた、素晴らしい材質のリードが手元にある時は、まさに自然からの贈り物を得た気分です!
しっかりと表現ができる上での音色のタイプは、結局のところ好みの部分です。
いずれにしても、練習によって、吹きこなせるリードの幅は広がりますし、
吹き手の技量で、音色の良さは変わってきます。
上達のためのプラスのサイクル
最後に、私がこれまでの経験を振り返って感じる、上達のためのプラスのサイクルです。
よーし、『犬のおまわりさん』が上手に吹けるように、
リード選びと練習、がんばるぞ!!
うん!
ゆるりは、表現したいって気持ちをしっかり持ってるから、
きっと上手になれるよ!!
最後に
上記の、上達のためのプラスのサイクルに気づかせてくれたのは、
ドイツ留学当時の師匠、G.シュマルフース先生です。
ただその時は、階段を一段ずつ登っていくような、きれいで安全な道のりではありませんでしたが・・
長いこと同じ場所にいた私にとって、そこから踏み出す一歩は大きなエネルギーのいる一歩でした。
「今より上のレベルに行くには、自分の意識とリードを変えていかなければならない」
この時は、結構しんどかったです。
本当は、この記事で自分の体験談も書こうと思っていたのですが、
あまりに記事が長くなってしまったので、これはまた、別の機会に・・
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
次回は、リードの選び方 上級者編を書きます。
また読んでもらえたら、嬉しいです。
それでは・・