オーボエ

オーボエが吹ければイングリッシュホルンも吹ける?オーボエとイングリッシュホルンの違い

こんにちは!

オーボエを吹いている人でしたら、

イングリッシュホルン(別名: コールアングレ)という楽器にも、きっと惹かれることでしょう。

前回、イングリッシュホルンのリードについて、書きましたが、

本日は、イングリッシュホルンという楽器について、いろいろ書いてみたいと思います。

オーボエが吹ければイングリッシュホルンも吹ける?

イングリッシュホルンは、オーボエの仲間だということは、ご存知の人も多いでしょう。

ゆるり

オーボエ奏者が、持ち替えで吹く楽器だよね?

確かに、運指は同じだし、見た目も、オーボエを大きくしたような感じで、

オーボエのお姉さんって感じですよね。

オーボエを吹ける人なら、イングリッシュホルンを鳴らすことは、難しくないと思います。

私も、高校生の時、吹奏楽部で初めてイングリッシュホルンを吹きました。

その時は、オーボエよりずっと吹きやすいと感じました。

オーボエに比べて、抵抗感が少なくて、

「自然な息使いで吹ける!なんて素晴らしいんだ!」と思った記憶がありますね。

でも、そう感じるのは最初だけかもしれません。

吹けば吹くほど、イングリッシュホルンには、イングリッシュホルンの難しさがあることを実感すると思います。

イングリッシュホルンは、オーボエと”似て”いますので、

オーボエ奏者が持ち替えで吹いたりする楽器です。

でも、イングリッシュホルンには、

オーボエに負けず劣らず、大きなソロなどの役割が多いですよね。

オーケストラには、ソロ・イングリッシュホルン奏者の席があるように、

イングリッシュホルンは、オーボエとは全く別の楽器として、

向き合い、極めていかなくてはならない楽器です。

似ているオーボエとイングリッシュホルン。

今日は、二つの楽器の違いという視点から、

イングリッシュホルンについて、ご紹介していきます。

オーボエとイングリッシュホルンの違い

イングリッシュホルンは F管

オーボエが C管(ハ長調の楽器)であるのに対して、

イングリッシュホルンは F管(ヘ長調の楽器)です。

オーボエでドレミ、と吹くと、そのまま実音のドレミ、が鳴りますが、

イングリッシュホルンでドレミ、と吹くと、実音でファソラ、となります。

例えば、ハ長調の曲の楽譜が一つあります。

オーボエだと、ピアノで弾くのと同じで、そのままハ長調の曲が吹けます。

イングリッシュホルンでその楽譜を吹くと、完全5度低い音が鳴り、ヘ長調の曲になります。

オーボエとイングリッシュホルンの運指は同じですから、

低いドの音の運指で、イングリッシュホルンはオーボエより完全5度低いファの音が鳴ります。

オーボエよりも低い音域が出せる、というわけです。

構えの違い

イングリッシュホルンは、見ての通り、オーボエよりずいぶん大きいです。

ボーカルもある分、長さの違いは大きいですね。

以前、オーボエの『美しい指の形とキーの押さえ方』について、

記事を書きましたが、

イングリッシュホルンも同様に、自然で美しい形で、楽器を構えたいです。

実は、キーを押さえる指の間隔は、両楽器でほとんど変わりません。

変わるのは、腕の位置です。

イングリッシュホルンは長く、また、構えもオーボエに比べて低いので、

右手の位置がかなり下の方になり、

手首の角度がオーボエの時とかなり変わります。

私の場合は、右手の小指が左手に比べて短いのもあって、

右手の小指で Cis-key を押さえる時など、結構右手が厳しいです。

腕の筋など、痛めないように、

イングリッシュホルンを吹くときの、いい構えの位置を見つけたいですね。

ハーフキーの部分の違い

左手の人差し指の、ハーフキーの部分ですが、

オーボエとイングリッシュホルンで、形が異なります。

オーボエは、指を矢印の方向にスライドさせて、赤マルのキーの穴を開けたり閉じたりしますね。

イングリッシュホルンの場合は、赤マル部分を境に、キーが分かれていて、

ハーフにするときは、指を下側のキーに移動させることで、上側のキーを上げます。

指が、境の部分にかかっていると、キーが上がりきれず、ハーフになりません。

指の動きとしては、オーボエの時と同じで、

手首を少し回転させながら、スライドします。

指の移動が少なくて済むように、

塞いでいるときは、ちょうど上下のキーの境の部分に指を置いておき、

ハーフにするときに、スライドさせて、上側のキーを上げます。

イングリッシュホルンにおいても、ハーフキーの練習は重要です。

オーボエ同様に、ハーフが完全に出来ていないと、音がカサつくなどして、

すぐにバレます。

オーボエとはまた少し感覚が違いますので、

しっかりと取り出して練習しましょう!

重さの違い

大きさだけでなく、重さの違いも大きいですね。

私も、久々にイングリッシュホルンを長時間吹いたりすると、

右手の親指が、重さに耐えきれなくて、

楽器が指から滑り落ちそうになることがあります・・

重さ対策としては、首からかけるストラップですよね。

私は、もともとこのストラップは動きが取りにくくて、あまり好きではありませんでした。

結局、かなり緩めにして、吹いてる時はほとんど自力で持っている、という感じでした。

ストラップをつけるなら、ゴム製の、伸縮性のあるものがおすすめです。

演奏している際は、

アンブシュアの巻き具合や、くわえ具合など、微妙なコントロールをしています。

また、楽器を構える角度なども、いつも同じではありません。

そういった体の動きが制限される感じがなくて、

楽器の重さも軽減してくれる

という点で、私はこの伸縮性のストラップの方が断然使いやすいです。

息遣いの違い

オーボエは、息が余る楽器だと、これまでの記事でもお伝えしてきましたが、

イングリッシュホルンは、オーボエと比べ、たくさんの息を使って吹きます。

深く息を吸い、

重心を下げ、どっしりと支えてから、鳴らしましょう。

ドイツのデトモルトに留学していたとき、

デトモルト歌劇場のオーケストラに、時々トラで呼ばれていました。

そのオケに、エッカートという、オーボエ兼イングリッシュホルン奏者の男性がいました。

オーケストラピットは、歩くと少しギシギシいう感じの、板張りです。

オペラ公演が始まり、演奏をしていると・・

ある時、自分の譜面台がカタカタと小刻みに揺れ始めました。

なんだなんだ、まさかドイツで地震じゃないよね、と、

驚きつつ周りを見回すと、

近くの団員が、ニコッとしながら、私に目くばせしました。

「エッカートだよ。」

エッカートを見ると、めちゃめちゃドッシリと構えて、

お腹でヴィブラートをかけながら、イングリッシュホルンを吹いています。

彼が思いきりイングリッシュホルンを吹いているときの振動が、

地震の原因だったのです。

団員のみなさん、エッカートの地震には慣れっこのようです。

それ以後、地震が来たときには、

譜面台がカタカタ言わないように、そっと譜面台に手を添えるようになった私でした。

吹奏楽器とは、文字通り、吹いて奏でる楽器です。

上手な人が、楽器を吹いているのを間近で見ると、

重心がどっしりと下がって、安定し、

ブワーッと息が流れていくのを、すごく感じることができます。

オーボエは、抵抗感が強く、使う息の量も少ない楽器ですので、

余計に忘れがちですが、

しっかりとした支えと、伸びやかな息遣いで、

楽器を鳴らす(振動させる)ということを、いつも、心がけましょう。

曲の途中で持ち替えるとき

曲の途中で、オーボエからイングリッシュホルンに持ち替えること、多いですよね。

イングリッシュホルンの場合、持ち替えてすぐにソロが・・なんてことも

珍しくありません。

有名な、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」の第二楽章のソロも、

通常、2番オーボエがイングリッシュホルンに持ち替えて吹きます。

一楽章でオーボエを吹いている間に、

イングリッシュホルンのリードが、カラっカラにならないか、心配ですよね。

イングリッシュホルンに持ち替えするときは、

目立つ場所の前から、少し音出しができるように、考えるといいです。

トゥッティの部分などで早めに持ち替えて、オーボエの譜面を移調して

吹いておくといいですよ。

また、リードの状態について、

乾きすぎたり、濡らしすぎ、開きすぎ、閉じすぎ、など、ならないように、

自分のリードの良い状態というのを、事前にしっかり把握しておくことが

大切です。

まとめ

以上のように、イングリッシュホルンとオーボエには、さまざまな違いがあります。

また、楽器の個体差による、音程の出方や癖なども、もちろんあります。

ボーカルによる違いも大きいので、チェックが必要です。

まずはロングトーンで、一つ一つの音をしっかり鳴らしてみるところから始めましょう。

オーボエとは違う、F管ですので、その辺りの慣れも必要です。

オーケストラでオーボエは、” p で柔らかく吹くこと”に苦労しますよね。

その点、

「イングリッシュホルン、うるさいよ!」なんてことは、ほぼありません。

「イングリッシュホルン、聴こえないよ!もっと吹いて!」

とならないように、

基礎練を充分にして、楽器をしっかりと鳴らしていきましょう!

あやこ

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また、こちらの記事も、イングリッシュホルンについての記事です。

イングリッシュホルンのリード、ボーカル、マンドレルイングリッシュホルンのリードの基本的な仕様。また、ボーカルやマンドレルなどについて解説しています。イングリッシュホルンのリードも作ってみたい!という方、どうぞご参考になさってください。...

それでは・・

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