リード小話

小話 ⁑進む安定したリード作りに感謝しつつ、思う事

こんにちは!

前回に引き続いて、

リードのお話を展開していきたいと思います。

シェーパーの型や、チューブの種類、

現在、本当に様々なものが出ていますよね。

私の現在のリード

前回のお話で登場した、

ミヒェルのシェーパー、720番。

ドイツで私が習っていた、シュマルフス先生が、

この型を使っていました。

この型は、

根元と先端の両方が細めのタイプで、

高音の音程が取りやすいという特徴があります。

これに、

息の通りがよく、自由な響きの、

グロタンのチューブを組み合わせていました。

ミヒェルの720番+グロタン

息がスムーズに流れ、

高音も力まずに、楽に出せるのが魅力です。

シュマルフス先生の豊かで自由な響き、

特に高音のふわっとした独特の音色をご存知の方は、

なるほどと思われるのではないでしょうか。

ところがこの、グロタンのチューブ。

先端の部分が楕円で、穴が大きめなのですが、

その大きさや形に、一本一本、結構な個体差がありました。

穴が大きめだと、

下のG (ソ)や、真ん中のC (ド)の音程が、

下がる、または安定しない、ということが起こりやすく、

厳選したチューブでないと使えませんでした。

特に、ヤマハからマリゴの楽器を吹くようになってからは、

相性の良いグロタンのチューブを見つけるのが困難になってしまいました。

そこで、

先生が「これもいいよ。」と勧めてくれた、キアルージの2+と使うようになりました。

これは、グロタンと吹奏感が似ています。

悩みのタネだった、

下のG (ソ)と真ん中のC (ド)の音程も安定しています。

そういうわけで、

私の現在のリードは、

シェーパー: ミヒェルの720番

チューブ: キアルージ 2+

の組み合わせとなりました。

味わい深い、クロッファーのチューブ

ドイツに留学する前に、よく使っていたのは、

クロッファーのチューブです。

私が当時リード作りを習っていた先生が、これを使っていて、

私も先生からたくさん譲り受けました。

その先生は、元ベルリンフィル首席オーボエのコッホの弟子だった人です。

巨匠、コッホが、

このクロッファーのチューブを使っていたのでしょう。

コッホといえば、重厚感のある深く芯のある音色ですよね。

北ドイツでは、暗めで、重厚感のある音色が好まれています。

そういった、音色を求める人たちに、

このクロッファーは適していると思います。

抵抗感があり、深みのあるまとまった音色。

高音は抵抗感が強いぶん、しっかりと息圧をかけて吹く感じです。

クロッファーのチューブの形状は、

先程のグロタンとはかなり違って、

内径が小さい タイプです。

先の部分も細く、

形は、グロタンの楕円と比べると、まん丸に近いです。

クロッファーのオリジナルのチューブは、

現在はもう作られていませんが、

Guercio(ギュルツィオ) D12が、クロッファーのコピーです。

さて、このクロッファー。

先程のグロタンではありませんが、

これまた個体差が激しいチューブでした。

特に長さ!

今現在売られているチューブは、ミリメートル単位で、

とても正確ですよね。

クロファーは、46mmのチューブでも、

長めの46mmや、短めの46mmが沢山ありますから、

マイクロメートル単位の世界ですね 笑

こんなバラバラの長さのものが、

現在のお店に出ていたら、

大問題になってしまうと思いますが・・

あやこ

でも、なんだか、

一本一本に味があるんですよね。

これは、クロッファーのコピーには出せないというか・・

やはり独特のものを感じるんですよね・・

リード作り。様々な要素の均一化がもたらす安定感

リード作りは、

材質、形、削り方など、

マテリアルや、作り方の細かい要素が組み合わさって、

一本のリードになります。

それぞれの要素が均一化されることによって、

出来上がるリードも均一化し、安定したリード作りにつながります。

これは、奏者にとってはとても助かることです。

リード作りを安定させるための、様々な工具も、

たくさん出ていますしね。

ゆるり

昔のオーボエ奏者が、

現在のリード作りの工具たちをみたら、

驚くだろうなあ。

あやこ

喉から手が出るほど、欲しいと思うのではないでしょうか。

シェーパーの型もなく、自分で形を作っていた時代があったそうですから・・

「均一化」から思うこと

均一化、から思い浮かぶことといえば、

ちょっと話は逸れますが・・

18世紀のヨーロッパは、基準となるピッチが場所によってさまざまで、

例えば、パリとウィーンでは半音近く違っていたそうです。

地域によって、好まれるものが違っていて、

その違いが、その場所のアイデンティティーでもありました。

ですが、

1834年に標準ピッチを統一する会議が初めて開かれた後、

何度かの会議を経て、

1939年、ロンドンで開かれた国際標準音会議で、

ついにA=440Hzの標準ピッチが統一されます。

また音律についても、

12音を構成する、一つひとつの半音の幅が違う、

古典調律から、

全ての半音が同じ比率を持つ、

12平均律が広まっていきました。

そうした時代の流れに伴って、

楽器も、さまざまな改良が加えられていきます。

「鳴らしやすく、苦労なく音程がとれ、滑らかに音の移動ができる」

扱いやすく、容易に演奏ができる楽器が求められていきました。

ここ数十年で、オーボエという楽器も、

改良が重ねられ、クセが取り除かれ・・

均一化されてきたと思います。

奏者を苦労させる”クセ”と一緒に、

それぞれの楽器が持つ、独自性、味わい・・みたいなものが、

失われていっているのかなあ・・と、

思ったりもします。

ですが、

こういった「均一化」のおかげで、

西洋音楽や、楽器は、

万人に扱いやすく、

親しまれやすいものになっていくのでしょうね。

ゆるり

確かに、昔と比べたら、

オーボエは格段に吹きやすくなったんだろうなあ。

でも、やっぱり、リードには悩まされるよ・・

そうですね・・

でも、

どんな型を使うか、どんな削り方をするか、

自分のためのリードを求めて、試行錯誤できるオーボエという楽器は、

やはり奥の深い、魅力的な楽器だと思います。

ゆるり

この間の小話でも、

リードについて、なんだか

懸命に語っていたよね。。

もちろん苦労も多いですが、

それこそが、

みなさんがオーボエにハマる理由の一つではないでしょうか。

あやこ

なんやかんや、大変だけど、

やっぱり大好きなオーボエ!

これからも末長く、お付き合いしたいですね!

それでは・・

『リード製作室YURURI』では、楽器の上達の手助けとなり、充実した練習のお供となるようなリードを目指して、製作、販売しております。

是非一度、お試しくださいませ!

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