『本日の手直し』では、目の前にある一本のリードの問題点を見つけ、
どうしたいか、どうできるかを考えて、実際に試した結果までをお伝えします。
リードの手直しには、こうしたいときは、ここを削る、など、
メソッドは色々とあります。
ですが、
全く同じリードというものは存在しません。
手直しをするには、目の前の一本と、向き合うことが必要です。
ナマ物を相手に、上手くいく保証はありません。
少しずつ・・
削りながら、試しながら、ときには寝かせてみながら・・
本日の手直し、やってみましょう!
本日のリードについて
- バランス良くきれいに削ってあり、素直に振動している
- 楽な息で吹ける
材質が柔らかめであるため、
- リードだけで鳴らした時に、h-cis-dis の、dis が出ない
(音程が上がれないのではなく、リードが潰れて、音が出なくなる)
- 響きに芯が足りず、散った感じの音色
二つの問題点は、材質に起因していると思われます。
材質が柔らかいリードは、削りの際に、木を厚めに残しておかないと、
音程が崩れやすい、などの問題が起こりやすいです。
本日のリードは、削りすぎている部分がなかったので、
手直しの余地があります。
ここで、ワンポイントです。
リードだけで鳴らした時に、dis の音を出そうとすると、リードが潰れて、音が出なくなるリードがあります。
材質が柔らかいリードに起こります。
dis が出ない理由は、
dim をする時や、ニュアンスをつけたい時など、
強い息圧をかけたり、アンブシュアを締めたりした際に、
リードが耐えられず、振動が止まってしまうためです。
また、dis が出ないリードは、第3オクターブキーを使う高音が出にくいです。
手直しの内容
息圧に対抗できるよう、リードにもう少し、パワーをつけてあげたいですね。
リードの先端を見ると、先端の形があいまいで、
なおかつ、片方の面だけ、先端の真ん中部分の厚みがかなり残っていました。
![](https://i0.wp.com/yururi-to-oboe.com/wp-content/uploads/2021/10/IMG_1687-2.jpg?resize=1024%2C768&ssl=1)
![](https://i0.wp.com/yururi-to-oboe.com/wp-content/uploads/2021/10/IMG_1687-1.jpg?resize=1024%2C768&ssl=1)
先端のもやもやした部分を、慎重に削って、
もう少しはっきり先端の形を作り、段差を出します。
また、残っていた片面の先端中央部分を、少し落とします。
キャリパーで測って、真ん中が10を切らないくらい、
サイドは8くらいにしました。
![](https://i0.wp.com/yururi-to-oboe.com/wp-content/uploads/2021/10/IMG_1689.jpg?resize=461%2C275&ssl=1)
ちなみに、先端の形は、通常丸くし、材料が硬い場合は、サイドのカーブを
多くつけますが、
本日のリードは、材料が柔らかいため、ほぼ真っ直ぐで作っています。
結果
リードにチカラが出て、h-cis-dis も、問題なく出るようになりました。
これによって、柔らかいppで始まり、ppで終わることができるようになりました。
音色については、大きな変化は望めませんでしたが、
強弱や、表現のつけられる、軽めで吹きやすいリードです。
オーケストラや、本番などでは使用できないにしても、
基礎練をはじめ、充実した練習に役立つ一本ができました。
特にお気に入りの一本にはならなくても、
上達のための練習が、しっかり出来るリードが出来たよ!
次のリードも、お楽しみに!
それでは・・
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